舞台役者を目指すには、募集しているオーディションに合格しないといきなりは無理ですよね。
だけど、ずぶの素人がいきなりオーディションを受けても合格する目途はほぼ、ありません。じゃあ、どうしたらいいのでしょうか?
すぐに諦めてしまう人もいるけど、いやいや、それでもまだなんとか術はあるはず・・と、探しまくる人もいるでしょう。
そんな人のために、ド素人からでも舞台役者のオーディションに受かる方法について解説します!
どんな役者がオーディションで求められるのか
舞台役者だろうが映画俳優のオーディションだろうが、まずは何を求められているのか?この劇団(映画会社)はどんな役者を求めているのかを知っておくべきです。
それには、相手が何をしているのか?どんな舞台や作品を生み出してきたのか?などは最低限でも調査しておきましょう。
まずは、楽劇座の芸術監督である関口さんのコラムがとても参考になるので、抜粋しつつ解説します。
役者の名前すら知らない応募者はNG
著名な劇作・演出家の名前はおろか、大劇場で主役を務める役者の名前すら知らないという・・・昨今、演劇界がそうした壊滅的?な傾向にあるのはどうやら間違いなさそうである。
「誰なら知ってるの?」と尋ねれば、人気声優かテレビの人気者の名前(それも20歳前後の最新の人気者のみ)が出て来る有り様。
仕舞いには友人が出演しているものを除けば、いわゆる2.5次元以外の芝居は観たこともないの由。
出典:エントレ
楽劇座の関口さんは、オーディションで審査員をする機会が多いそうです。
そこで、あきれるような発言をする応募者がたくさんいると言っています。
オーディションが行く際には、最低限、事前準備をしっかり整えていきましょう。
オーディションで合格基準となるための準備
備えあれば憂いなし!書類審査が通ったら、面接でのオーディションに進みます。
必ず、事前に質問されそうなことを想定しておき、どんなことを話すのか準備しておきましょう。
必ず聞かれる「オーディションを受けた理由」
審査員は、応募者の熱意や姿勢を知ろうとしているために、この質問を必ずしてきます。
できるだけ、自分なりの言葉で自信を持って熱く語れるようにしましょう。
逆に、消極的な理由しか言えない場合は、ほぼ合格はできません。
「友だちに勧められた」とか「演劇に興味があったから」なんて、もやっとした理由では、やる気を全く感じられないので、不合格に終わること大です。
プロフィールや自己アピールに書いたことは聞かれやすい
書類選考のときに書いた履歴書のなかで、特技や趣味、これまでの経歴については質問されやすいです。
はじめに履歴書に書いた内容については絶対に忘れないようにしておきましょう。質問されたら、すぐに答えられるように今一度、見直しておく必要があります。
もし、質問されたら、なるべく具体的に何歳から取り組んでいて、表彰されたこともあり、とかなどエピソードなどが語れるくらいにしておきましょう。
目標や目指している人やその理由も聞かれやすい
目指している人や目標について質問してくるのは、将来的にどういう方向を目指しているのかを知るためです。
必ずしも有名な人物をあげなくてもよくて、それほど知名度が高くない人でもOK。ようするに、本当に尊敬している・どんな部分に惹かれるということを正直に答えるようにしましょう。
この質問で大切なのは「なぜ尊敬しているのか」という部分であり、応募者の考え方や人間性、個性を知るためにあります。
家族や親が承諾しているか
応募者が未成年の場合はオーディションに合格して契約を交わすことがあり、その場合は承諾が必要なので、これは正直に伝えましょう。
また、役者の稽古や仕事は時間が不規則なため、夜まで拘束するケースもあり、ご両親の理解や応援が不可欠になってきます。
集客力のある役者が求められる
また、本当に求められる役者というのは、これは結局は、「集客力」であることは理解しておかないといけない現実があります。
あまり正直に言う人はおりませんが、正直なところ“役者の価値は客の数”と言っても過言ではありません。これは謂わば公然の秘密です。
少なくとも商業演劇的見地に立つならば、これがプロの世界だったりもする訳です。
「面白い芝居やるから来て!」だけで2,000人収容のホールで一ヶ月も公演が打てよう筈はありません。世の中はそれほど善意に満ちてはおりませんし、そこまで暇でもないでしょう。そこで頼りの綱は“人気者”となる訳です。
出典:エントレ
楽劇座の関口さんは、必ずしも、演技力は二の次、といっているわけではありません。
ただ、現実の商業舞台背景として、
演技力<集客力<演技力+集客力
という順番になるそうですから、凡人の私たちが役者として食っていくためには、まずは集客力を磨いたほうがいいかもしれません。
未経験でも役者になれるかもしれないオーディション
役者になるためには、それなりの準備や普段から演技の勉強や下積みとなる積み重ねをしておくのが強みとなります。
しかし、まったくの未経験からでも役者になれる道ってあるのでしょうか?準備さえしておけば、オーディションに受かって晴れて役者デビューすることができるのでしょうか?
有名プロダクション系列の養成所や有名劇団の研究生
有名プロダクションにはその準ずる養成所があり、有名な劇団にもだいたい研究生として学べる研究科があり、定期的に未経験者向けのオーディションを行っています。
そこでは、書類選考で受かった人には二次審査としてのオーディションがあるけど、ほとんどの人が合格する仕組みのようです。
合格者は受講料を払って養成所でしばらく訓練を受けることになるわけだけど、相場としては月に2万円~で頑張れば本当に芸能界や舞台にデビューしていく人もいるわけです。
だけど、それは、一筋縄ではないので、努力と素質と行動力が伴わないと満足のいく成功はできないという現実があります。
名の知れない劇団に入って役者活動するのは回り道なのか
一方、まだまだ有名になっていない劇団では、ワークショップを行ったり、直接舞台に参加してもらう役者さんを募集することがあります。
ワークショップは無料で行うところもあり、数千円程度で有料の場合もあります。
また、劇団は無名、無名に近いくらいの小劇団だけど率いる団長が元芸能界で活躍していた俳優さんだったり、演出家、脚本家というケースもあります。
興味ある劇団であれば、いきなりこういった劇団のオーディションがあれば受けてみて参加するのもよいでしょう。
ただ、劇団は有名であろうが無名であろうが、その劇団を率いる団長や演出家、脚本家、演技指導家によってかなりカラーが変わります。
自分に合った劇団を選んで、進んでいくのが良いですね。
未経験だけど役者をやりたい人におすすめの劇団の選び方
ひとくちに舞台をやる劇団はもうたくさんありますし、最近では、一人芝居で公演を行う人すらいるので、いざ、舞台役者になろうと思っても、どの劇団に入ればいいのか?ってかなり問題になってきます。
それは、本気で役者を目指したいと思えば思うほど、自分の思い込みが大きくなり、いつしか、描いている自分の世界と所属している劇団の方向性が違ってしまう可能性があるからです。
団長や監督、演出家の指示に従えるか
劇団の方向性は団長や演出家、演技指導によってかなり変わります。
同じ戯曲作品を選んでいても、違う劇団がお芝居をするとまったく違って見えてしまうくらいです。
それは、役者にどう演じさせるか、にも変わるのである意味、役者は演出家が示す方向性によって、自由に変わらなくてはいけないのです。
自分が、この役ならこういうしゃべり方をするだろうと思って演技しても、演出家が、それは違う!といえば、その通りに演技を変えなくてはいけません。
役者は単なるパートを任されているだけなのに、演出家が示す部分をその通りに演じる役目があるのです。役者には、ある意味、あやつり人形のようなもので、その方向性に向かって色を染めていく必要があります。
セリフがなくても耐えられるか
また、セリフが全くない役でも、劇に出ている以上は他の役者さんの邪魔にならない程度の自然なしぐさの演技をする責任があります。
劇団には、年功序列のように、古くから入っている役者さんが主役をとり、新しく入った役者さんにはなかなかセリフの多い役を回さないというスタイルのところもあります。
演技力がうまい下手などに関係なく、自分にいつまでもセリフのある役が回ってこないとしたら、ちょっとイライラしてくるでしょう。
しかし、こういったストレスにも耐えなくてはいけないのです。つまり、こういう理不尽なことがあっても耐えられるような劇団に入るというか、精神力でないといけません。
やっぱり自分の好きな劇団に入るのが一番いい
つまり、劇団に入ろうと思ったら、いろんなワークショップに参加して、興味がもてた劇団の舞台を観に行って、自分にあってるかどうか確かめるのが一番いいです。
舞台を実際に観て心に残るものがあったり、気に入った役者さんのしぐさや表現力など、なにか目指す役者さんがいる劇団であれば、前向きに取り組めるはずです。
ぜひとも、有名な劇団をはじめ、無名でも口コミで良いと言われている劇団のお芝居を観に行ってみましょう。
そして目指す劇団が見つかったら、そこのオーディションを受けてみましょう。
まとめ
舞台役者のオーディションは経験がそれほどなくても準備さえしっかりすれば、どこかには合格ができます。
ただ、そこから、本当に役者として成功できるか?は別の話です。
舞台役者をやっている人のほとんどが、生活費は別で稼いでいて、ほとんどが趣味に近いようなもので終わっています。
もし、役者として生活も支えていきたいというのなら、演技を磨くことと同時にファンを作り、観に来てくれるファンを育てていかないといけません。
つまり、集客力があれば演技力がそこそこでも役者として食べていけるのです。これは肝に銘じておかないといけません。
もし、集客力は絶対に無理、というなら、趣味として割り切るしかありません。
演技力を磨いただけでは、大した人数のお客さんは集まりません・・・舞台に立たせてもらえるだけでもありがたいと思っていくほうが正しいのかもしれません。
ただし、あまり割り切ったことばかり言うのもさみしいですので、最後に一つだけホローしておきます。
役者が本当に情熱をもって捧げ切っている演技をすると、観る側は感動します。
そして、その感動はいつまでも心に残ります。またあの人のあの演技を観たい、と思って、次の公演も観に行きたくなります。
心の動く演技を続けてくれる役者さんはとても貴重です。
数少ないですが、そんな役者さんは演技力=集客力となるのです。